<Header> <Title> Life before war </Title> <File> jmn09 </File> <Participants> <Speaker> <ShortName> woman </ShortName> </Speaker> <Speaker> <ShortName> man </ShortName> </Speaker> </Participants> <Date> 24/02/2010 </Date> <Place> Shizuoka </Place> <Situation> informal monologue </Situation> <Topic> Life before and after the World War II </Topic> <Source> C-ORAL-JAPON </Source> <Class Type1="informal" Type2="private" Type3="monologue" /> <Length> 59’ 43’’ </Length> <Characters> </Characters> <Acoustic_quality Type="B" /> <Transcriber> M. Ooshiro, K. Matsui </Transcriber> <Revisor> E. Takamori, K. Matsui </Revisor> <Comments> </Comments> </Header>
1 0-8.21 INT: よろしくお願い <します> ///
2 0-8.21 SSA: [<] <私 {%com: わたくし}> は # 昭和 # 七 {%com: しち} &ね [///] &mm ごめんなさい ///
3 8.21-14.796 INT: 大丈夫です <よ xxx> +
4 8.21-14.796 SSA: [<] <昭和> 六年から / 豊橋 / 牛川町に / 住まいすることになりました ///
5 14.796-17.216 SSA: 父は / 大工でした ///
6 17.216-24.468 SSA: 母は / 新潟生まれの / 素晴らしい美人で / 村では評判のお母さんでした ///
7 24.468-36.358 SSA: お母さんはとても芯の強いお人で / 私どもに / 叱ることもあまりなかったし // かと言って / え褒めることも知らぬようなお母さんでした ///
8 36.358-54.114 SSA: ところが父はその反対に / お話の大好きな人で / もう -> 村では父がいなかったらお日待ちができないというほどの / 腕前 // 食事を作ることにしても / いろんなことに &し xxx [/] あのう父は / 長けている人でした ///
9 54.114-59.777 SSA: でよく "小学校時代俺は利口だった" / ていうことを // 父から伺っておりました ///
10 59.777-84.181 SSA: でも父は // ちょっと体の弱い人で // それも // 本人が / 作った / 現在の = 何て言うですかねえ [///] その -> / 成人病ですかねえ / あの / お酒が好きで / お酒で / 胃を壊して // 私の知ってる父は // 毎日薬をぶらさげて仕事に行く人でした ///
11 84.181-90.763 SSA: でもね / その父が // 私は今でも大好きです ///
12 90.763-114.462 SSA: その大好きな父は // 早くにこの世を去ることになりましたけれども // まだまだその時は父が / xxx [/] 現在 / いてくださったので // 私は -> 父が大好きなもんだから / 父の / 喜ぶことを / 一つでも多くやりたいと / いつもそんなふうに心がけて // 生活していました ///
13 114.462-130.306 SSA: けれども // ある時私より / 二歳上の / お姉ちゃんのあるお母さんから // "せっちゃん今度は # 五 [/] 四年生になるんだよねえ" って言われました ///
14 130.306-155.126 SSA: "はい !" と答えたら -> ば // "うちのさちはね / 学校が大嫌いで / 何にもできないで // 宿題を / 誰か書いてくれる人がなかったら学校行くの嫌だって泣くもんだから // せっちゃん / 二年下で / ちょっと {%alt: っと} きついかもしれないけれども / さちの勉強見てくれないかね" / て頼まれました ///
15 155.126-162.662 SSA: 私のその時の驚きときたら // 言葉には出ませんでした ///
16 162.662-170.905 SSA: でも / "ああ / あの素晴らしい父ちゃんに相談してみよう" / と思いまして / 父に話をしました ///
17 170.905-177.187 SSA: すると父は // 答えられないそうで黙って目をつむっていました ///
18 177.187-181.509 SSA: して / 一週間が / 何にも無く過ぎました ///
19 181.509-184.968 SSA: そうしたら {%alt: たら} 父が / "今日は本屋さん行くぞ ///
20 184.968-187.881 SSA: せつこ一緒に行くか" / て / 言いました ///
21 187.881-192.563 SSA: 私は今まで父から本を買っていただいた / 記憶が無いんです ///
22 192.563-195.326 SSA: だけど父が本を買ってくれる ///
23 195.326-197.098 SSA: どんな本買ってくれるんだろ ///
24 197.098-200.773 SSA: もう胸を躍らせて父について行きました ///
25 200.773-207.624 SSA: それが / 豊橋の / 豊川堂 {%alt: ほうせんどう} という / 豊橋で二番目の大きい本屋さんでした ///
26 207.624-218.065 SSA: 私はもう本屋さんへ入ると / きょろきょろきょろきょろきょろきょろと見回してばっかりいて / 父が何を買ってくれるのか全然 {%alt: ぜん -> ぜん} 分かりませんでした ///
27 218.065-225.408 SSA: ところが / 黙って {%alt: だま -> って} / 六年生のだいぜんがっか {%alt: 大全学科} を / ぽんと {%com: a sound like tapping on the table} 私の前へ置きました ///
28 225.408-228.496 SSA: "ああ -> ! そう -> か -> ///
29 228.496-235.85 SSA: 父ちゃんこれであたしを許してくれる / 許可証なんだ ->" って / 私は思いました ///
30 235.85-246.849 SSA: そして // 図らずも / 二歳下の少女が / 二歳上のお姉さんの / お勉強を見てあげることに xxx [/] なってしまいました ///
31 246.849-256.458 SSA: もう嬉しいやら / 切ないやら / 何て / この / 心の表現を出したら良い {%alt: いい} でしょうねえ ///
32 256.458-259.109 SSA: いまだに戸惑っております ///
33 259.109-263.457 SSA: そして / その / 勉強がはじまりました ///
34 263.457-270.819 SSA: 同じ / 見てあげるならば // 間違いのないのに見てあげたい ///
35 270.819-273.119 SSA: それが私のモットーでした ///
36 273.119-282.05 SSA: だから / そんなことをしているうちに / 本当に / 二年なんか / あっという間に過ぎてしまいました ///
37 282.05-284.385 SSA: 私は得をしました ///
38 284.385-300.687 SSA: 二年先の勉強をしちゃったんで / 五年生は / ま無理だったかもしれませんが // 六年生は / もう / 学校行って全部眠ってても / 全部 {%alt: ぜ -> んぶ} 百点満点を取ることができました {%act: laugh} ///
39 300.687-307.489 SSA: こんな喜びは / 味わった者でなかっ / たらできないと / 今も信じております ///
40 307.489-312.806 SSA: それが /
41 307.489-312.806 INT: hhh {%act: understand} ///
42 307.489-312.806 SSA: 私の / ん / ま / 学業の / お話です ///
43 312.806-320.003 SSA: で / まだ四年生の時に = ちょっと戻りますけれども [///] 四年生の時でした ///
44 320.003-331.434 SSA: 私は夜中にね // 何で目を開いた {%alt: あいた} のか分かりませんが / 私は夜目を開く {%alt: あく} なんていう子じゃなかった -> らしいんですが / 目を開いて {%alt: あいて} しまいました ///
45 331.434-336.217 SSA: そうしたら {%alt: したら} 母と父が / お金の無い話をしているじゃありませんか ///
46 336.217-339.822 SSA: "今月は二十円しかない ///
47 339.822-344.894 SSA: どこそこに / いくら / お返ししなきゃ xxx [/] いけないお金がある ///
48 344.894-347.053 SSA: どこそこにもいくいくらある ///
49 347.053-349.532 SSA: どこそこにもいくいくらある" ///
50 349.532-354.773 SSA: 数えていると / 二十円が &きめ [/] 消えてしまうじゃありませんか ///
51 354.773-366.174 SSA: まああとの十円で / この家族 / 五人を / どうやってお父さん生活するのかなと / 四年生の私が胸にぐさりと来たんです ///
52 366.174-377.998 SSA: それからというものは # = これも申しましたけどねえその話 [///] それで /
53 366.174-377.998 INT: hhh {%act: understand} ///
54 366.174-377.998 SSA: 私はその / 何としたら自分にお金儲けができるんだろう ///
55 377.998-382.689 SSA: この / 四年生の少女にお金儲けすることがあるんだろうか ///
56 382.689-387.23 SSA: もうそれが私の頭から離れんくなってしまいました ///
57 387.23-397.772 SSA: そこで // ある日 / お守りも / すっぽかし // 全てをすっぽかし / 父から母からも / 見えないところへ行きたいと思いました ///
58 397.772-402.412 SSA: そして / どこまででもいいから自分の足で歩いてみよう ///
59 402.412-414.059 SSA: 田舎の方向へ向かってどんどんどんどん歩いて行くうちに // ある / お蚕さんの / やまあげ {%alt: 山あげ} xxx {%alt: を} しているお家の前へ // 足が止まりました ///
60 414.059-421.307 SSA: 見ますと / そこの中でもうみんなが本当に目まぐるしく動いてるんです ///
61 421.307-423.66 SSA: そこで / ちょっと声をかけてみました ///
62 423.66-428.888 SSA: 勇気を振り絞って / "おばちゃん ! あたしにもお蚕さん手伝わしてよ ->” ///
63 428.888-431.873 SSA: “なあに -> ? このちびが -> ?
64 431.873-438.795 SSA: ああ {%act: repeated an interjection} 忙しい忙しい ! そんなお前なんかと話をしてる暇はないわ !" て / おばさんに断られました ///
65 438.795-439.963 SSA: "待てよ ?
66 439.963-446.051 SSA: ここで引き下がっては私じゃないぞ ->" と思いまして {%act: laugh} //
67 439.963-446.051 INT: hhh {%act: laugh} ///
68 439.963-446.051 SSA: "おばちゃん !
69 446.051-449.749 SSA: そんなに忙しいんならあたしね / 猫のけ [/] 手より / ましよ !
70 449.749-455.359 SSA: 猫さんは何にもできないけどねあたしお蚕さんのやまあげ {%alt: 山あげ} あのちゃんと {%alt: ちゃ -> んと} 知ってるんだから ///
71 455.359-456.566 SSA: 升ちょうだい" ///
72 456.566-457.92 SSA: “まうるさい子だね ///
73 457.92-462.098 SSA: 升ならそこにあるわよ" / ておばさんも / 認めてくれたらしいんです ///
74 462.098-466.699 SSA: そこで // お蚕さんを拾いながら / "おばちゃん !
75 466.699-469.332 SSA: この / お蚕さんどこの巣へ入れたらいいの ?"
76 469.332-470.745 SSA: “おおあんた巣を知っとるのか ///
77 470.745-471.704 SSA: その棚にあるわ ///
78 471.704-474.339 SSA: 届くかい ?" ておばさんはおっしゃいました ///
79 474.339-478.047 SSA: 私は小さいから / 背伸びして飛び上がって取りました ///
80 478.047-494.595 SSA: そして升のお蚕さんを / なるべく / 手で触らないように / 上手 {%alt: じょ -> ず} にこうして / 升の中へ入れてったら / もう早いお蚕さんはどんどん / &mm 生糸を出しながら / 自分の / あの &お [/] 繭を作り始めたじゃありませんか ///
81 494.595-510.671 SSA: もうその時の嬉しかったことなんて // もう -> 本当に {%alt: ほんっと -> に} / "ああ / これであたしはお父さんの / 助けができるんだ -> !" と思った時には {%alt: にゃ} // もう嬉しくて嬉しくてね / 一生懸命一日中働きました ///
82 510.671-516.729 SSA: そして / お昼におばさんが声かけてくれて "おい / そこのちび ! お前お弁当ないんだろ?"
83 516.729-519.01 SSA: "はい!" "どっから来ただ?"
84 519.01-520.664 SSA: "牛川町から来ました" ///
85 520.664-521.567 SSA: "ほお ///
86 521.567-523.086 SSA: 遠いのに良く来たなあ ///
87 523.086-528.012 SSA: ここになあ // 麦飯と / たくあんしかないけれども / 食べるかい?"
88 528.012-535.392 SSA: "はい ! いただきます !" と言って {%alt: つって} // 私の家は / 貧しいながらも麦を食べたことがないんです ///
89 535.392-537.757 SSA: お米の白いご飯ばっか食べてるの ///
90 537.757-542.298 SSA: ところがね / その時は / お麦のご飯がとても美味しかったです ///
91 542.298-553.526 SSA: そして // お父さんの / お在所で厄介になっている時に / 麦のご飯がのどへ通らなかって泣いたことを思い出しながら // おいしく呼ばれました ///
92 553.526-562.841 SSA: そして / 一日が / あっという間に過ぎまして // おばさんが / "おい / そこのちび / まだ名前聞いてなかったなあ" "はい ///
93 562.841-566.395 SSA: 私ね / ほしの / せつこって言うんです" ///
94 566.395-567.945 SSA: "ほう -> せっちゃんか ///
95 567.945-569.026 SSA: いい名前だなあ ///
96 569.026-571.447 SSA: どこで覚えた / こんな仕事を" ///
97 571.447-572.393 SSA: "はい ///
98 572.393-582.956 SSA: 私は // 近所がね / みんなあのう / お百姓さんだから // 子守りをしながら見ててね / お蚕さんが山へ入りたいの / {%com: noise} 良く覚えちゃったの ///
99 582.956-585.176 SSA: 背中が透き通って黄色くなるでしょう ?
100 585.176-591.298 SSA: これは繭の出る生糸が入っているんだもんねえおばちゃん ?" て言いましたら // "おおそこまで知ってるか ///
101 591.298-593.69 SSA: どおり {%alt: どお -> り} で上手だったわい ///
102 593.69-601.391 SSA: お前見てたらなあ // 巣へ入れる時に / 一匹も余分が無かったし / また一匹も足りんとこも無かったなあ ///
103 601.391-610.263 SSA: すべて / 万点だったぞ {%com: noise} !" とおっしゃって // "今日のな / お礼だぞ" / て一円二十銭 / 下さいました ///
104 610.263-615.351 SSA: 当時の / 一円二十銭は // とても {%alt: と -> ても} 大金です ///
105 615.351-628.157 SSA: 私はもうその大金をいただいて / もう握り締めて / 自分が / 本当に自分の足で地を歩いているのかと / 思うくらいに / 家へたどり着きました ///
106 628.157-629.636 SSA: "ただいま ->" ///
107 629.636-634.189 SSA: 父の / 罵倒が / 頭の上に来ました ///
108 634.189-637.378 SSA: "昼ご飯も食べんでどこ行っとった -> !"
109 637.378-642.271 SSA: もうその時の父の顔を見る勇気もありません ///
110 642.271-644.113 SSA: ただただ頭を下げてました ///
111 644.113-649.579 SSA: そして // "父ちゃん / 今日あたしね / お金儲けしちゃったの ///
112 649.579-654.921 SSA: はい ! 一円二十銭 !" たら父は / こう申しました ///
113 654.921-656.891 SSA: "馬鹿を言うじゃない ///
114 656.891-664.994 SSA: 父ちゃんがな / 一日 / 大工として働いて / 一円が / 相場だぞ ///
115 664.994-670.197 SSA: 土方はな / その半分の六十銭だぞ ///
116 670.197-675.931 SSA: 学校の先生が / 二十四円で一円だぞ ///
117 675.931-680.91 SSA: お前は / 一円二十銭握ってきたぞ ///
118 680.91-688.812 SSA: とうとうお前は // 父ちゃんが貧しいので / 泥棒したのか ?" て言われました ///
119 688.812-696.469 SSA: 私はね “父ちゃんの子どもがね / 泥棒なんかするもんかよ ///
120 696.469-702.045 SSA: 父ちゃんそんなしつけをしたのかい ?" と / 反論しました ///
121 702.045-708.426 SSA: 父は驚いて // "父ちゃんはなあ / 確かめにゃあな / 眠れんで ///
122 708.426-717.088 SSA: はあ {%com: 早よ} 自転車に乗れ !" と言いましたので // 私は父の後ろへ乗っかって / 働いたおうちまで / 伺いました ///
123 717.088-723.744 SSA: すると / そこのおばさんが玄関から出てきて // "おい / 何だ ///
124 723.744-727.235 SSA: 賃金が安くて // 文句言いに来たのか ?"
125 727.235-730.616 INT: hhh {%act: laugh} ///
126 727.235-730.616 SSA: という答えが {%act: laugh} / 返って {%alt: ?はいって} きました ///
127 730.616-738.901 SSA: 父は今までの勢いはどこへやら // へなへなとそこへ座り込んでしまいまして / 世間話を始めました ///
128 738.901-742.381 SSA: お父さんはきっと安心したんだと思います ///
129 742.381-749.938 SSA: そして // それ [/] それから間もなくでしたねえ // あの父は // 私にこう言いました ///
130 749.938-753.492 SSA: それが四年生の / 二学期 &mm / 始まる前でした ///
131 753.492-760.735 SSA: "俺はなあ // お前という子どもは確かにわしの子どもだと ///
132 760.735-781.703 SSA: 今までは随分 / お前はとんでもない子じゃから / サーカスに売ってやるぞとか / 橋の下から拾ったとか / よくなあ / お前を / いい子になるように / 大人しい女の子になるようにと / いろいろ工夫したけれども // 何一つお前に通じなかった ///
133 781.703-785.619 SSA: お前の能力はなあ / ちょっと違う ///
134 785.619-788.287 SSA: 父ちゃんとも違う ///
135 788.287-796.979 SSA: そんな子になったのはどこでどうなったかは分からんけれども // とにかくお前は / ちょっと違う ///
136 796.979-800.506 SSA: だから父ちゃんは / これから考え変えます ///
137 800.506-821.781 SSA: お前を // 自分の子どもであるけれども // 大人として扱ったら / 父ちゃんは驚かされたり / 叱ったり / お前を憎むようなことになっちゃ困るから // お前を / 大人として扱う / ことに決める ///
138 821.781-825.907 SSA: ということは / お前も大変だぞ ///
139 825.907-832.089 SSA: お前は / もう少し前から / 父ちゃんが / 研ぎ物を教えてきたよなあ" "はい ///
140 832.089-845.597 SSA: 父ちゃん体が弱いから力が無いので // 私が研げれるんならと思って研いできたけれども // 父ちゃんはいつもうまいうまいって褒めてくれたけど // あれ本当にうまかったんですか ?" て聞きました ///
141 845.597-848.404 SSA: おお / うまい ! 父ちゃんより / うまい" ///
142 848.404-855.293 SSA: "うーん / 父ちゃんよりが付いた ?" て {%act: laugh} / 言いましたら // "父ちゃんより付いた ///
143 855.293-859.393 SSA: だから / 今日からは / 父ちゃんと / 仲間になる ///
144 859.393-872.365 SSA: だから / &とう [/] お前が / 家におる / 学生である限り / 父ちゃんの研ぎ物をしてくれよ" と // "その代わり大事な仕事の道具だから / しっかりと研いでくれよ" と / 言いました ///
145 872.365-882.408 SSA: 私はもうその時にこれから叱られんで済むのか / サーカスに売られんで済むのかというもう / 安心感の方が {%act: laugh} / 大きかったですね ///
146 882.408-898.335 SSA: え / だから / もうそうして / そんなことをしているうちに / いつの間にかそのさっちゃんの勉強もあり / それから / 妹たちのお守りもあり / ね // いろんなことに / もうぶつかりながら / あのう / 来たんですよね ///
147 898.335-902.284 SSA: それで {%alt: そで} // 今お話の中でちょっと戻らしてくださいね ///
148 902.284-908.918 SSA: あのう // 四年生の二学期 -> [/] 夏休みですか / 二学期前の ///
149 908.918-914.884 SSA: 父がね // あのう / 昔はあのう着物を着てたから / セルの羽織を持ってたんですね ///
150 914.884-917.672 SSA: セルというのは今で言うと / ウールと言いますね ///
151 917.672-926.914 SSA: その羽織を持ってきて / "お前は生意気だで / 父ちゃんがこれ [///] あのう {%alt: の ->} 羽織で / 父ちゃんの半ズボン {%com: a sound like tapping on the table} 作ってくれんか" // て / 言いました ///
152 926.914-931.895 SSA: それもまた驚きましたねえ私洋裁なんてやったことないでしょう ?
153 931.895-935.895 SSA: "ええ -> ? 父ちゃんのズボンを -> ?
154 935.895-946.774 SSA: ううん父ちゃんわしを試してやがるなあ ->" って思っちゃったら今度楽しくなっちゃいましてねえ // "よし {%alt: よ -> し} 作ってやるぞ -> ///
155 946.774-952.416 SSA: 父ちゃんなんかに負けてたまるもんか ->" って / 私の心がもう吹き出し / ました ///
156 952.416-962.709 SSA: そこで // "そうは言ったもののなあ -> / 父ちゃんのズボンとは難しいなあ ->" &ss -> て / 三日ぐらいは / そんなこと言って過ぎちまいましたかねえ ///
157 962.709-964.82 SSA: それから / "あ ! そうじゃ ///
158 964.82-972.401 SSA: 父ちゃんが寝てからあのズボンを見本にすりゃあできるじゃねえか何 {%alt: なあに} を考えとったこの馬鹿 ->" って自分の頭を一つ {%alt: つとつ} 殴りました ///
159 972.401-986.296 SSA: そして / 父が寝てから // そのズボンを // 織物の布目をたどりながら // 三センチから五センチおきに測っていったらちゃんと {%alt: ちゃ -> んと} ズボンの製図ができあがりました ///
160 986.296-990.58 SSA: そこで / 今度はポケットですね / 一番難しい ///
161 990.58-1000.856 SSA: あのポケットももう隅から隅まで引っ張っては見て縫ってあるのはどうして縫ってあるこう // hhh {%act: breath} &mm 眺めながら = 当時はミシンもありません ///
162 1000.856-1003.03 SSA: ましてや貧しい家庭ですから ...
163 1003.03-1016.854 SSA: それで {%alt: ほいで} もう一針一針 // はい / 半返しという / 縫い方で // とうとう / 六日かけて / あの [///] 三日考えて四日製図してあと二日で仕上げました ///
164 1016.854-1030.412 SSA: それで {%alt: そいで} // 父の眠ってる枕元へ / 黙って {%alt: だま -> って} 置いて寝ましたけれども // 私は父がどんな顔して驚くかの方が待ち遠しくて / 一睡も眠れることができませんでした ///
165 1030.412-1033.567 SSA: とうとう父が目を覚ましたときには {%alt: にゃ} / "やった !
166 1033.567-1035.622 SSA: 父ちゃんどんな顔するかなあ” ///
167 1035.622-1039.464 SSA: もう -> こっちの方が楽しいくらいに / 父の顔を待ってました ///
168 1039.464-1052.22 SSA: そうしたら {%alt: たら} // 自分の履いてたズボンと / 今縫い上がったのを見て / 見比べながら / 父は / "ううん ->" って唸って一言もありませんでした ///
169 1052.22-1063.455 SSA: そんなことがあってから / 私が -> その -> / お金儲けをしたもんだから // もう父はそこで私を / 大人として扱うことに決めたらしいですね ///
170 1063.455-1067.063 SSA: もう十分のようでしょう ?
171 1067.063-1067.561 SSA: ねえ ///
172 1067.561-1068.155 INT: そうですね ///
173 1068.155-1068.767 SSA: ええ ///
174 1068.767-1083.003 SSA: もうこんな /
175 1068.767-1083.003 INT: hhh {%act: understand} ///
176 1068.767-1083.003 SSA: あのう -> / 小学校時代の / もう -> = 何と言うかね [///] 喜びと苦しみと悲しみと // もう -> いろんなことに一度に出会っちゃったのがその四年生ですかね ///
177 1083.003-1084.479 SSA: ええ ///
178 1084.479-1099.168 SSA: もう喜びも / 悲しみも辛さも // &mm &し [/] うちの貧しさも知ったり / もう -> / とんでもないそんな二歳上の子の勉強だとかいろんな {%alt: いろん -> な} ことが入ってきたのが // 私の四年生ですね ///
179 1099.168-1100.698 SSA: うん ///
180 1100.698-1103.22 INT: 四年生っていうとおいくつの時 -> です <か> ?
181 1100.698-1103.22 SSA: [<] <え> ?
182 1103.22-1104.746 INT: おいくつの時ですか ?
183 1104.746-1107.73 SSA: これが小学校四年 <生> ///
184 1104.746-1107.73 INT: [<] <小> 学校四年生というと +
185 1104.746-1107.73 SSA: と十歳 ///
186 1107.73-1108.428 INT: 十歳 ///
187 1108.428-1109.091 SSA: はい ///
188 1109.091-1109.566 INT: ほう ///
189 1109.566-1113.284 INT: 十歳で裁縫したり //
190 1109.566-1113.284 SSA: はい / 十歳 <になったばっかりですね> ///
191 1109.566-1113.284 INT: [<]
192 1113.284-1114.467 SSA: ええ ///
193 1114.467-1123.109 SSA: そん時に <これだけの>
194 1114.467-1123.109 INT: [<] <hhh {%act: understand}> ///
195 1114.467-1123.109 SSA: ことを / また / 考えついた / ていうのもよく父に褒められましたね &mm // あのう / 後からは ///
196 1123.109-1124.082 INT: うんうんうん ///
197 1124.082-1133.056 SSA: で // 親思いのところを = 私があんたまだ四年生じゃない三年生の時にもまだ {%alt: まんだ} 一つね / 大変なエピソードがあるんですよ ///
198 1133.056-1136.277 INT: それはどんな [/] どんなお <話> +
199 1133.056-1136.277 SSA: [<]<いい> ですか ? このまま <続けても> ?
200 1133.056-1136.277 INT: [<]<はい xxx もちろん> [/] もちろんです ///
201 1136.277-1142.611 SSA: それはねえ // あのうたまたまあのう // 夏にこう / 桑イチゴって / ご存知ですか ?
202 1142.611-1148.165 INT: # 普通のイチゴ <ですか> ?
203 1142.611-1148.165 SSA: [<] <あのお蚕> さんが食べる桑の木になる実 ///
204 1148.165-1155.723 SSA: その桑イチゴが //
205 1148.165-1155.723 INT: hhh {%act: understand} ///
206 1148.165-1155.723 SSA: あのう -> ねえ // xxx 夏休みの終わり頃にちょうど実るんですよ // 八月の終わり頃に ///
207 1155.723-1166.581 SSA: それで {%alt: ほいで} ねえそれをね = 姉ちゃんと -> 私三歳違うから // 二人があのう / 一枚一反の / 反物で二枚できるんですよ // 四つ身という {%alt: っちゅう} 着物だと ///
208 1166.581-1169.574 SSA: で xxx / 新しく xxx / その -> / 浴衣を作っていただいたの ///
209 1169.574-1174.057 INT: hhh {%act: understand} ///
210 1169.574-1174.057 SSA: それを & き [/] 着せてもらった時に / 桑イチゴ採りに行っちゃったわけ ///
211 1174.057-1175.61 SSA: 新しいの着て ///
212 1175.61-1180.452 SSA: で姉は &ごじ &mm [/] 自分だけ食べて // 美味しい美味しいってこうやって帰って行ったのね ///
213 1180.452-1181.665 SSA: 私は "待てよ ///
214 1181.665-1184.147 SSA: こんな美味しいもの自分だけ食べちゃもったいない ///
215 1184.147-1190.416 SSA: あ妹にもやりたい母ちゃんにもあげたい父ちゃんにもあげたい" って思っちゃったから // 袂へ重いほどこうやって抱えて来たの ///
216 1190.416-1192.634 SSA: もう真紫よねえ ///
217 1192.634-1193.457 INT: 袖の下に ///
218 1193.457-1194.042 SSA: はい -> ///
219 1194.042-1203.008 SSA: そうしたら {%alt: ほうしたら} もう / "ただいま" って言った途端に母は // "この子はこの子はこの子はこの子は! " / て / すくんで泣き出しちゃったのね ///
220 1203.008-1207.315 SSA: "あれ // 何で母ちゃん泣いてんのかなあ ///
221 1207.315-1208.39 SSA: 変だなあ” ///
222 1208.39-1210.63 SSA: “母ちゃん何泣いてるの ///
223 1210.63-1211.949 SSA: 何悲しいの" ///
224 1211.949-1223.485 SSA: "お前はなあ // 新しい着物着せてやったのに // こんなに {%alt: こん -> なに} 汚してきてどうするだ !" て言うから {%com: speaks very low} // "あれ母ちゃんこれ汚したって言うの ?
225 1223.485-1226.99 SSA: イチゴのねえ -> / あのう色が付いただけだよ ///
226 1226.99-1229.607 SSA: &oh それを汚したって言うの ?
227 1229.607-1235.621 SSA: 汚したって言うのはね / 汚い物をいじった手でこうやってね塗りくったのを汚したって言うじゃないの ?
228 1235.621-1237.178 SSA: 私汚さないよ ///
229 1237.178-1239.069 SSA: イチゴが染みただけだよ" ///
230 1239.069-1243.839 SSA: 母は驚いた顔をして私を見上げました ///
231 1243.839-1249.292 SSA: してね // "まあいいや / とにかく // 染みたものは染みたんだ ///
232 1249.292-1256.591 SSA: だけどねえ母ちゃん // あんた泣くのはちょっと早いよ" って言ったら {%alt: たら} 母はもうただ泣いてました ///
233 1256.591-1263.066 SSA: "あのね / 母ちゃん洗濯してね // 色が取れないでしょう ? とあんた思ったんでしょう ?
234 1263.066-1278.593 SSA: でその時に -> // 染まったのを / それ着ろよって私によこしたら -> / あたしが -> / そんな色の付いたもの嫌 -> って言ってから母ちゃん叱ったって間に合うんじゃないの ?" と三年生の / 餓鬼が / 申しました ///
235 1278.593-1282.215 INT: hhh {%act: laugh} ///
236 1278.593-1282.215 SSA: 母は / ただ泣いてました ///
237 1282.215-1289.957 SSA: だから母はもう私には随分泣かされっぱなしだったような記憶がたくさんございます ///
238 1289.957-1293.344 INT: hhh {%act: laugh} /// 泣かされっぱなし {%act: laugh} ///
239 1293.344-1298.913 SSA: もうねえ // "この子はこの子は" ねえもう -> どれほどその言葉をいただいたか ///
240 1298.913-1300.464 SSA: うん ///
241 1300.464-1303.465 SSA: けれども / &ss -> = あの / 延長してもいいですか ?
242 1303.465-1304.011 INT: もちろんです ///
243 1304.011-1318.544 SSA: あのう // そうやって働き行くようになって / ねえ / それで {%alt: んで} -> // 十六歳で -> 父に / 他界され / て // それからはもう母は / 子どもに頼るしか / 頼るところないでしょう ///
244 1318.544-1331.011 SSA: それで {%alt: ほいで} / お姉さんは私より三歳上だけれども -> / 今先ほども言った通り社会にあまり // ね / 通じてない人だから // あのお金儲けが下手なのね ///
245 1331.011-1343.882 SSA: で私の方 -> は / おかげさまにて / 手先は器用 / 仕事は早い / どこ行ってもいつも一番一番一番になっちゃうから // 随分お金儲けにこう / また縁があるのね ///
246 1343.882-1346.547 SSA: “ああせっちゃんあれができるからやってちょうだい” ///
247 1346.547-1351.62 SSA: “せっちゃんこれができるからやってちょうだい” って // あのどんどん人から仕事が来るんですね ///
248 1351.62-1356.566 SSA: それをまたどんどんこなせるだけの / 私には能力と -> 腕があったわけですね ///
249 1356.566-1380.799 SSA: だからね // もうその / 十 -> 六歳で父に他界されたから // ええ -> 二十六歳まで -> 丸々十年っていうものは = その前でも / 私は自分 -> で働いたお金自分に使ったことは -> もう小遣い以外無いですけど // あのう / &ふ [/] 父母にいつも渡してたから [///] そいで / あとの十年というものは // 小遣いもままなりません ///
250 1380.799-1384.289 SSA: まだ下に四人いる子育てにゃいかん ///
251 1384.289-1384.843 SSA: ね ///
252 1384.843-1393.652 SSA: 母は / 何にもできる人じゃなかったから // だからねその四人と母の五人の生活を [///] と / 姉まだいたから姉も六人だよねえ ///
253 1393.652-1395.614 SSA: 全部私がしょいました ///
254 1395.614-1397.675 SSA: はい ///
255 1397.675-1404.294 SSA: もうだからね普通の / 仕事をしてたんでは -> / 間に合いません !
256 1404.294-1408.02 SSA: もう男でもいい / 女で &mm なくてもいい ///
257 1408.02-1413.609 SSA: 仕事を &し [/] くれる人なら誰でも神様のように思って / あの仕事をこなして行きました ///
258 1413.609-1414.756 SSA: ええ ///
259 1414.756-1416.75 SSA: <&ほだ {%com: ほだから < それだから}> +
260 1414.756-1416.75 INT: [<] <何を> / されてたんですか ?
261 1416.75-1417.198 SSA: は ?
262 1417.198-1419.907 INT: 何をされてたん <ですか> ?
263 1417.198-1419.907 SSA: [<] <ええ> とねえ = ちょっとお茶飲ましてよ -> ///
264 1419.907-1422.227 INT: あ // どうぞどうぞ <飲んで下さい> ///
265 1419.907-1422.227 SSA: [<] <あなたも良かった> らわし持って来たで ///
266 1422.227-1449.356 SSA: あのね // そう -> ねえそれはもう / 父が亡くなってからの話だもんでね // それで {%alt: ほいで} あのう十六 -> 歳で死にいかれたもんだから // 私はそれが十 [/] え昭和十八年ですから -> = xxx 昭和十 -> / 八年だな [///] それで {%alt: ほいで} 十九年に / 親戚が / 満州で / 雑貨屋を営んでまして // それで {%alt: ほいで} お給金をたくさんあげるからって言うので // 私まあ母を助けるつもりで {%com: noise} / 満州行ったんですよ ///
267 1449.356-1456.54 SSA: そうだけど {%alt: ほいだけど} /
268 1449.356-1456.54 INT: <hhh {%act: understand}> ///
269 1449.356-1456.54 SSA: [<] <次の年の> 五月から [///] そうだから {%alt: ほいだから} 十ヶ月間は母に // たくさんお金を / 送れたんですよ ///
270 1456.54-1461.228 SSA: だけど終戦して引き上げるまでは / 音信不通になっちゃったわけ ///
271 1461.228-1465.52 SSA: 日本と交流ができなくなっちゃったの / もう戦争が激しくなって ///
272 1465.52-1477.375 SSA: だから昭和 / 二十年の五月から / 二十一年の五月まで丸一年間私は / あのう / 一銭も母に送ることができなかってそれはちょっと苦しかったですね ///
273 1477.375-1480.543 SSA: どうか {%alt: どう -> か} お母さん生きとってください ///
274 1480.543-1484.661 SSA: 栄養失調になってもいいで生きとってくださいと祈るしかなかったですね ///
275 1484.661-1485.687 SSA: うん ///
276 1485.687-1493 SSA: それで {%alt: ほいで} / 引き上げてきた時に / あまりの貧しさに / 私は眠れなかったね / 驚いて ///
277 1493-1496.237 SSA: 姉にはこんな力が無いんだ ///
278 1496.237-1500.373 SSA: 姉がいたのに // まだ妹も弟も全部学生 xxx / ね ///
279 1500.373-1504.878 SSA: こんな {%alt: こん -> な} にも // 栄養失調の一歩手前でした ///
280 1504.878-1512.912 SSA: もうそれを見た時にね // もう一日でも一分も十分も私はじっとしておっちゃいけないと思いました ///
281 1512.912-1522.584 SSA: それで {%alt: ほいで} / あ [/] あのう / 姉の / たまたま知り合いのところで = まんだ終戦直後なんてね / 働くとこも少ないし // ね / とても苦しい時代でした ///
282 1522.584-1531.816 SSA: そんだけ母 [/] &ね [/] 姉の知り合いが / あのちょっと工場を経営していると // ほいでね / まだまだ人を {%com: noise} 入れてもいいっておっしゃったで / 行ってみないかって言うから行きました ///
283 1531.816-1541.998 SSA: そうしたら {%alt: ほしたら} / たまたまそこでは / あのう // &うち [/] 自分の会社でひいた糸でこういうものを織る [///] あのう織ってほしいって / あの機械が / &そ [/] 備わってました ///
284 1541.998-1564.811 SSA: ところがね // 私音を聞いてたらね // この糸ひく方の / あの私仕事したことがあるもんだから // あああの仕事の方が楽しいなあこんな一人でこんなしとる // xxx {%alt: あんな} ね編み物やってるよりかと思いましてね // "社長さん / あの機械の音は xxx {%alt: がらごう} じゃないですか" / て聞いたら // "あんた xxx {%alt: がらごう} 知っとるのかね ?" って言う {%alt: っちゅう} んで "はい知ってます" ったら // "そうかそりゃ手っ取り早いなあ ///
285 1564.811-1576.048 SSA: それじゃ {%alt: ほいじゃ} xxx {%alt: がらごう} やってもらおうか ->" / て言うもんだから // "はい / それに是非お願いします" って / 入ったら // 丸三月目に // 今まで七年も八年もいた人を全部抜きました ///
286 1576.048-1591.651 SSA: そして / あのう / 同じ / 材料で [///] 同じ原料ですね材料と言うより / 原料で // そこはね / べしょ繭 {%alt: べしょまえ} と言って繭の [///] 一人前になってない繭を / あの綿にして / それを / 新たに糸にする会社だったの ///
287 1591.651-1593.136 INT: べしょ繭 ///
288 1593.136-1600.566 SSA: はい // べしょ繭と言いましてね / べしょって言う {%alt: っちゅう} のは // まああの // &ひ [/] 規格以外 {%com: sounds like tapping on the table} [///] 規格より / 悪いちゅう意味ね ///
289 1600.566-1605.593 SSA: <それをあのう> /
290 1600.566-1605.593 INT: [<] <hhh {%act: understand}> ///
291 1600.566-1605.593 SSA: 豊橋弁で / &べ [/] べしょ繭 {%alt: まい} と言います [/] <べしょ繭{%alt: まい}> ///
292 1600.566-1605.593 INT: [<] <hhh {%act: understand}> ///
293 1605.593-1610.935 SSA: それで {%alt: ほいで} そのお蚕さんの / あのう [///] もう中で死んじゃってるのがほとんどですね ///
294 1610.935-1612.861 SSA: あのう / さなぎまで行けないわけ ///
295 1612.861-1615.961 SSA: 途中で // あのう繭を作りながら死んでしまう ///
296 1615.961-1622.642 SSA: s その -> / 繭を // 綿に打って / それを / 糸に作るわけね ///
297 1622.642-1626.083 SSA: その当時はそういう仕事がねえ / 豊橋にはたくさんありました ///
298 1626.083-1632.846 SSA: <そして> /
299 1626.083-1632.846 INT: [<] <hhh {%act: understand}> ///
300 1626.083-1632.846 SSA: その糸を -> 皆さんはねえ / 太い {%alt: ふと -> い} 毛糸みたいな糸を引いてるんですよ xxx 他の人たちは ///
301 1632.846-1640.283 SSA: こんないい原料で [/] 材料で // 何であんな太い糸しか引けないのかなって私はそこで考えたの ///
302 1640.283-1650.006 SSA: ああ叱られてもいいでやってみましょうと思ってね // 一人だけでもいいじゃないか細い糸を作ってやりましょうと思って // 木綿糸ぐらいの太さにねえ私はやったんですよ ///
303 1650.006-1652.574 SSA: そうするとね {%alt: ほうとね} / 原料たくさんいらないわけね ///
304 1652.574-1653.509 INT: hhh {%act: understand} ///
305 1652.574-1653.509 SSA: 糸が細い ///
306 1653.509-1655.875 SSA: 量は長くできるけどかさは無い ///
307 1655.875-1662.281 SSA: ところが仕上がったら [///] 最初はねえ / 社長さんも見ててね // にこっと笑っちゃ xxx だよね ///
308 1662.281-1663.918 SSA: あ / 笑ったら xxx {%alt: いいこん} だな ///
309 1663.918-1675.428 SSA: よっしゃ // じゃ続けましょう / と思ってね // そしてそれが仕上がった時に // あのう私のは皆さんよりね / 長さは同じでも / 目方が十分の一 / から十二分の一ぐらい {%com: noise} ///
310 1675.428-1676.821 SSA: もっと細いわけね ///
311 1676.821-1693.711 SSA: そうしたら {%alt: ほしたら} ねえ // "ほお -> / この原料でなあ -> / こんな {%alt: こん -> な} いい糸を引いてくれる人がいたんだ ->" て言って {%alt: ちゅって} 社長さん驚いて // その糸を染めに出して // それで {%alt: ほいで} あのう / 織物にして / あのう / 男の人のスーツができたんですよ ///
312 1693.711-1696.176 SSA: 当時としたらもう莫大ですね ///
313 1696.176-1720.122 SSA: それで {%alt: ほれで} / 社長さん驚いて / "こんな立派なものができる糸を引いたのはこのわしが会社を興して初めてだ" って // それで {%alt: ほいで} / "&も [/] もうお前にはね / 給料も随分 / 人よりも目開いとるけれども / またあげてやるでな" っておっしゃって // それで {%alt: ほいで} / えその時の / 糸の [///] やら / スーツを作った残りきれを / このくらいくださったのかなあもうちょっと {%alt: ちと} 幅があって ///
314 1720.122-1723.092 SSA: ええ一アール / 無かったかなあ ///
315 1723.092-1727.225 SSA: でいただいて私袋を作ったり足袋作ったりいろいろ作ったんですよ ///
316 1727.225-1729.818 SSA: それで {%alt: ほいで} 見せたら // "ほお / 足袋ができた ///
317 1729.818-1748.406 SSA: そいじゃ {%alt: ほいじゃ} わしのも作っとくれ" <と言うから> //
318 1729.818-1748.406 INT: [<] <hhh {%act: laugh}> ///
319 1729.818-1748.406 SSA: 会社の社長さんからそこのお爺様のからみんなの足袋を私作らせていただいてねえ // 賃金いただいて // 足袋の仕立賃いただいて // "ああ / これで私は二人前稼げるんだ" って言って {%alt: っちゅって} そこで // もう = 何て言うかね [///] あのう二人前稼げることを覚えたわけね ///
320 1748.406-1759.335 SSA: そして / 残業をしたり // もういろんなことをしてまあ = 姉がね / ぐんぜい工業という {%alt: っちゅう} とこへ / 事務に行ってて // 千円 / 一ヶ月 ///
321 1759.335-1762.227 SSA: 私はね三千四百円いただいてたの {%com: hardly heardの} ///
322 1762.227-1764.893 SSA: だから三倍 / もちろん以上でしょ ///
323 1764.893-1775.227 SSA: それで {%alt: そいで} / そこへね // 一年行かないうちに = 一年 / 行かないな [///] 十ヶ月 -> そこで働いて // もっと稼ぐとこ見つけちゃったのよ ///
324 1775.227-1777.806 SSA: もっと稼げるところを ///
325 1777.806-1790.78 SSA: これは公表するのはちょっとおこがましいけれども // もう -> 時効になりましたからお話してもいいと思いますが // &ss [/] え昭和二十 -> 一年二年の話ですよ ?
326 1790.78-1791.869 SSA: &mm ?
327 1791.869-1795.501 SSA: 昭和二十年二十 <一年>
328 1791.869-1795.501 INT: [<] <hhh {%alt: understand}> ///
329 1791.869-1795.501 SSA: に引き上げてきて二十二年ですね ?
330 1795.501-1798.706 SSA: それで {%alt: ほいで} ね / あのう / 闇タバコ ///
331 1798.706-1800.656 SSA: ね ///
332 1800.656-1802.582 SSA: 統制 -> の外のもの ///
333 1802.582-1803.168 SSA: ね ///
334 1803.168-1808.579 SSA: それを作る -> / 人 &の [///] が / たまたまあのう / 姉のお友達だったの ///
335 1808.579-1818.867 SSA: それで {%alt: ほいで} そこへ用事があって行ったら // 皆さん / あその / タバコの葉を / 巻いて切る / この / 包丁が切れんで / 困っ <てたの> ///
336 1808.579-1818.867 INT: [<] <hhh {%act: laugh}> ///
337 1818.867-1820.346 SSA: 私得意じゃない ///
338 1820.346-1821.567 SSA: " <おい> /
339 1820.346-1821.567 INT: [<] <hhh {%act: laugh}> ///
340 1820.346-1821.567 SSA: 包丁研いでやろう ///
341 1821.567-1823.789 SSA: あのう // 砥石あるか" ///
342 1823.789-1827.311 SSA: "ありますよ" って言う {%alt: っちゅう} から / 十丁ほど / あっという間に砥いでやったの ///
343 1827.311-1835.93 SSA: "いや / 何て切れるだやれ" ってみんな驚きまして // それで {%alt: ほいで} や / "私も仲間にするかね ?" て一口言ってみたの ///
344 1835.93-1838.612 SSA: "女は口が軽いでなあ ///
345 1838.612-1844.598 SSA: この仕事は / 外へ漏らすと困るでな" っておっしゃったもんで // "あそう ///
346 1844.598-1854.967 SSA: あんたひろこさんと {%com: a sound like tapping on the table} お友達だよね" って = xxx 姉のこと [///] "姉はそんなあのう // &ひ [/] 人様の辛いこととか困ること話すような / 姉ですか ?" て聞いたの ///
347 1854.967-1856.527 SSA: "いや -> ひろこさんはそんな {%alt: ほんな} ことない" ///
348 1856.527-1860.618 SSA: "じゃあ私の方がもっと堅いんだから / ね / いいじゃない仲間にしたって ///
349 1860.618-1870.289 SSA: こんなに包丁も切れるじゃ仲間にせにゃもったいないhhh {%act: laugh}”
350 1860.618-1870.289 INT: hhh {%act: laugh} ///
351 1860.618-1870.289 SSA: て xxx // &たま [/] あのう / 仲間にしていただきました ///
352 1870.289-1877.596 SSA: でもねえ / 昭和二十三年の -> / 四月いっぱいで / あのう / 終わりにしました ///
353 1877.596-1912.169 SSA: 何でって言う {%alt: っちゅう} と // もう世の中が落ち着いてきまし <て ->> //
354 1877.596-1912.169 INT: [<] <hhh {%act: understand}> ///
355 1877.596-1912.169 SSA: あのう = 何て言う {%alt: ちゅう} の↑ [///] あれはタバコ組合っと = え昔は何て言った {%alt: った} っけねえ // &えん [/] ええ xxxかあのう -> ね / うん # まん {%alt: まんだ} あの頃は xxx タバコ組合だったか [///] それが / xxx きちんと日本でやれるように / なって // それで {%alt: んで} あのう &し [/] あの国が / あ統制するようになったから [///] &な [///] もともと国がやってるんだけど -> // その / はいがの / こう / &き [/] 占められるという {%alt: ちゅう} ことかな ?
356 1912.169-1920.273 SSA: それで {%alt: ほいで} 分量も増えて // 生産も増えて // だから / 内緒でやっとる人のは / もう捕まるのね {%com: hardly heard の} ?
357 1920.273-1920.929 INT: 闇は -> ...
358 1920.929-1922.066 SSA: はい / だめになってきた ///
359 1922.066-1927.945 SSA: じゃやめましょうって / そこできっぱりと辞めて // それで {%alt: んで} また日清紡へ返り咲いたわけ ///
360 1927.945-1929.27 SSA: はい ///
361 1929.27-1935.877 SSA: ところが日清紡行ったらば -> [///] 昭和二十三年の八月二十 {%com: noise} 三日に入社しました ///
362 1935.877-1941.941 SSA: 何と / 九月にいただいたお給料が -> / 千三百円 ///
363 1941.941-1948.109 SSA: ま何て安い今までねえ / その闇タバコで一万円いただいてたの ///
364 1948.109-1950.21 SSA: 多い時は一万二千円ぐらい ///
365 1950.21-1950.945 INT: 一万円 !
366 1950.945-1951.487 SSA: はい ///
367 1951.487-1954.074 SSA: 姉が千円なのにわし一万二千円 !
368 1954.074-1957.289 SSA: はい {%act: laugh} / 十倍 {%act: laugh} ! hhh {%act: laugh} ///
369 1957.289-1961.107 SSA: そだから // お母さんが困るじゃないかって私 ///
370 1961.107-1964.937 SSA: &oh そいでまあ私がその日清に返り咲いた時は姉は嫁に行きました ///
371 1964.937-1965.803 SSA: うん ///
372 1965.803-1976.788 SSA: それで {%alt: ほいで} まあ姉はうちにはいないから // xxx どっちみち一銭にもならん人だからいいけど -> // それで {%alt: んで} -> あのう = 何だい // 弟と妹 -> と [///] 妹に弟に妹二人で / 母と五人いるでしょ ?
373 1976.788-1983.242 SSA: でそん時にあたしが日清紡行った時に // 弟が中学 [/] 小学校六年頃かなあ ?
374 1983.242-1988.997 SSA: それで {%alt: ほいで} // 四年生と / 二年生 = &mm ↑そうじゃないな [///] ああ !
375 1988.997-1994.083 SSA: もう一人のすぐ下の妹はもう -> &ちゅうが [/] &ah ううん {%alt: ああん} と &こう [/] 高等科二年だっただ ///
376 1994.083-1996.823 SSA: ね // その二十三年に ///
377 1996.823-2000.06 SSA: それで {%alt: ほいで} 弟と妹と妹がまだ小学校でしょ ?
378 2000.06-2002.797 SSA: それで {%alt: ほいで} / あのう / 日清紡行った ///
379 2002.797-2007.349 SSA: だけどあんまり {%alt: あん -> まり} 安いからお母さんがどうなるんだろうなあ -> ///
380 2007.349-2015.408 SSA: 今まで一万円稼いだから多少はゆとりがあったかしらん // 少しは貯めてあるかなあ -> ていつもこんなことばっか心配してたの ///
381 2015.408-2020.671 SSA: それで {%alt: ふんで} &は [/] 九月の / ええ半ばに / 旧盆って / あるでしょう ?
382 2020.671-2022.816 SSA: その旧盆が会社にありました ///
383 2022.816-2036.376 SSA: そしたらば / あのう / ボーナスの代わりにって言って {%alt: っちゅって} 会社の / FC1っていう素晴らしい白生地が / 一人に / 十アールくらいずつボーナス出たわけですね / 生地で ///
384 2036.376-2040.562 SSA: そうやってそれを / 作業服に縫って着なきゃならんわけ ///
385 2040.562-2043.804 SSA: 作業服を縫える人なんてあんまりいないんですよ ///
386 2043.804-2045.89 SSA: オーダーへ出すと高い ///
387 2045.89-2053.576 SSA: 高いと言う {%alt: ちゅう} ことは働く賃金が一千三百円ばかじゃ // &あね [/] あのう / 仕立賃払ってたら // やってけないのね ///
388 2053.576-2061.577 SSA: そん時にあたしがひらめいたのが // ああ / 父ちゃんのズボンができたわしじゃないかと // 洋裁なんか知らんだってこんなもん縫えるぞと ///
389 2061.577-2063.709 SSA: まず会社の / 図書室へ行こう ///
390 2063.709-2069.66 SSA: で会社の図書室行って / ページめくってったら // ちゃんと {%alt: ちゃ -> んと} / 出てるじゃないですか / 作業服の作り方 ///
391 2069.66-2079.077 SSA: ああ ! これよっしゃ / 製図しましょと / はいその場で製図してきて // それで {%alt: ほいで} // "いくらで縫ったら // みんなが縫わせるかな ///
392 2079.077-2087.875 INT: hhh {%act: laugh} ///
393 2079.077-2087.875 SSA: いくらだったら -> / &ぬ [/] あのう / 頼む人が少ないかなあ / いくらならどのぐらい来るかなもっと安いと損するかなあって / いろいろ考えました ///
394 2087.875-2093.688 SSA: それで {%alt: ほいで} まず糸を {%com: a sound like cutting something with scissors} / ね / あのう / ミシン糸を / いくらだか / まず糸を / 買ってきました ///
395 2093.688-2099.969 SSA: この糸の長さがこれだけだから -> // この &よ [/] 服を縫うには十枚は縫えるなあと / 計算しました ///
396 2099.969-2117.177 SSA: 十枚縫えると / 一枚が // ええ五円 xxx {%alt: のよう} かかっちゃうかあ / と思いながら // まあそこまで計算できたから / 一か八かやりましょうと思って // それで {%alt: ほいで} // &mm 寮におって / 寮の / 自分の部屋の前へ / 作業服三十円で縫わせていただきますと貼りました ///
397 2117.177-2123.82 SSA: も仕事が来ました来ましたもう恐ろしいほど来ました ///
398 2117.177-2123.82 INT: hhh {%act: laugh} ///
399 2123.82-2126.865 SSA: &す [/] 外だと一円二十銭ぐらいだったらしいの ///
400 2126.865-2130.309 SSA: 外の先聞いとけば半分で {%com: noise} / もうちょっと {%alt: ちと} 儲かって xxx {%alt: たのにね} {%alt: たんね} !
401 2130.309-2132.949 SSA: まあいいやそれでも {%com: sound like clapping her hands} 三十円でもって思って ///
402 2132.949-2136.395 SSA: そうしたら {%alt: ったら} ね十五枚縫えました // 五十円の糸で {%com: a sound like tapping on the table} ///
403 2136.395-2139.471 SSA: だからね // あのう五円かからないでしょ ?
404 2139.471-2140.791 SSA: ね ///
405 2140.791-2149.619 SSA: だからね // あ / こんなら大丈夫だ / と思ってね // それで {%alt: ふんで} -> // {%com: noise} &ah あの &ふつ [/] 普段の // 日に / &ss 裁断しとくの ///
406 2149.619-2151.886 SSA: で重ねて xxx {%alt: こういうの} 名前入れて全部ね ///
407 2151.886-2177.046 SSA: それで {%alt: ほいで} / あのう日曜日の朝 // 本当は八時からでないと開けていただけないのを // 理由を申しまして // あのう &uh / その -> / 舎監の / そういう係りの先生にお願いしまして // 前日に鍵をお借りすることにしまして // もう信用していただくことに / &き [///] いろいろ / 説明をしまして // で鍵を借りといて // 朝五時に / ミシン室へ入るんです ///
408 2177.046-2199.046 SSA: それで {%alt: ほいで} / &ひ [/] 朝食 {%alt: あさしょく} は部屋の人が [///] あの日曜の朝はパン食だから / もう味噌汁は無くともパンだけは運んで来てくれるから // それで {%alt: ほいで} / &ふゆ [/] お昼も / みんなが運んで来てくれるから / お部屋の子が // それで {%alt: ほいで} お部屋の子にはただで縫ってやることを約束しまして // それで {%alt: ふんで} -> ミシン室で [///] 晩の五時までミシン室におりますと / 十枚縫えちゃうんですよ [/] 十五枚 {%com: a sound like tapping on the table} ///
409 2199.046-2201.382 SSA: それを丸二年やりました !
410 2201.382-2203.097 INT: ほお // 二年も ///
411 2203.097-2203.65 SSA: はい ///
412 2203.65-2212.46 SSA: だから -> &ss # [///] 会社の給料千三百円でも / 私のそれを縫う方が / 千八百円から約二千円あるでしょ ?
413 2212.46-2217.2 SSA: そうすると {%alt: ほうっと} さらに / 母に三千何ぼ / あげることができるでしょう ///
414 2217.2-2224.114 SSA: それで {%alt: ほいで} まあ -> も何とか // あの / 立ち直ってと言う {%alt: ちゅう} かまあ何とか / &あ [/] 安心してもらえたと思います ///
415 2224.114-2249.785 SSA: それで {%alt: ほいで} // そんなことをやりながらでも // あのう / まだまだ時間の余裕があったから // あのう / &ひとさ [///] まあ / お部屋の子はまあもちろん {%alt: も -> ちろん} {%com: sound like rubbing the table} ただだけど -> / 他の部屋の人に {%com: sound like rubbing the table} お金いただくことにしてあるから // あのう / 中には冬んなれば編み物やってくれって言う {%alt: っちゅう} 人もありますし // だからそういうの時間をもうほんとに {%alt: ほんっとに} 克明に / 大事にして // あの // 賃金の得ること -> に / 没頭しました ///
416 2249.785-2251.056 SSA: うん ///
417 2251.056-2266.742 SSA: それで {%alt: ほいで} / 会社の方も // 入社した時は千三百円でしたけれども // あのう // 当時ね / ええ / たきだみのるさんっていう方がね / あの二十七歳でね / 若い青年の組合長がいたんですよね ///
418 2266.742-2274.776 SSA: その青年の組合長さんがすばらしい能力の持ち主でね // 最後はケネディ {%alt: けねで ->} さんに &お [/] お呼ばれするような人になったんですよ ///
419 2274.776-2276.945 INT: え ?! <すごいですね> ///
420 2274.776-2276.945 SSA: [<] <ケネディ大統領> に !
421 2276.945-2285.838 SSA: あのう / アメリカの / <ケネディ {%alt: けねで}>
422 2276.945-2285.838 INT: [<] <hhh {%act: understand}> ///
423 2276.945-2285.838 SSA: 大統領 {%alt: だい / とうりょう} が -> / 日本のたきだは素晴らしい / 青年 {%com: noise} だって言って {%alt: っちゅって} ねえ // あの / お呼ばれになったの ///
424 2285.838-2291.099 SSA: それで {%alt: ほいで} たきださん / は {%com: noise} / あの / ケネディ {%alt: けねでー} さんに招待されてね // お会いしたんですよ ?
425 2291.099-2291.937 INT: そうなんですか ///
426 2291.937-2292.288 SSA: はい ///
427 2292.288-2301.798 SSA: そのたきだみのるさんて言う {%alt: ちゅう} 人が私らの日清紡に / あの青年で / いて // それで {%alt: ほいで} あのう // 組合長やったんですよ / 労働組合長 ///
428 2301.798-2310.941 SSA: それで {%alt: ほいで} どんどんどんどん労働組合のことばかりあの人はなさって -> 最後まで // xxx {%alt: 年俸} {%alt: ねんぼう} 部会会長をやってお亡くなりになりましたけどね八十何歳で ///
429 2310.941-2313.786 SSA: ええ // もう素晴らしいお人だった ///
430 2313.786-2317.786 SSA: それで {%alt: ほいで} その方が [///] を私ら -> のもう目標みたいでしたね ///
431 2317.786-2334.281 SSA: それで {%alt: ほいで} 賃上げ賃上げをどんどんやってってくださいましてね // 最初はあのう私が二十三年に入社した時は // アメリカから原綿をお借りして // それで {%alt: ほいで} あの生産だけを賃金をいただくっていうのが // あのやり方だったの ///
432 2334.281-2352.409 SSA: それがあたしの / 会社に入 &し [/] 社している / 間に // あのう // あのう xxx &mm [///] 日清紡もお金ができて // アメリカから原綿を買って一貫作業させて {%alt: さして} もらうようになったから // すると {%alt: すと} / 利潤も // 倍増するでしょう ///
433 2352.409-2362.884 SSA: だから賃上げ賃上げでどんどん上がっていきまして // 私があのう / 三年七ヶ月おる間に // 私は最後は一万七千円までいきました ///
434 2362.884-2364.319 SSA: ええ ///
435 2364.319-2385.584 SSA: もうその頃は / そんなにあのう # = 何て言うの↑[///] 他の事稼がなくても母にやるお金に / そんなには困らんくなりましたけどね // それでももったいないから // あれもやり -> これもやり -> してね // あのう / もうその / 作業服が &い [///] 会社が縫製科が復活して // 縫ってくれるようになって私用がなくなった ///
436 2385.584-2396.369 SSA: だから // あの / オーダーをやることにしまして // で -> / オーダーを縫うっていうことは / ある程度ね / あの腕もなきゃいかんし // 免許もいるんだけど私なんか免許何もないの ///
437 2396.369-2410.161 SSA: ただもう私の / 勘と / ええ / 器用さで -> 始めたんですけど -> // で -> まあ皆さんに -> 仕立て代を / 払うの難しいから // この生地で -> / こういうものを作ったら仕立て代いくらと聞いてらっしゃいと ///
438 2410.161-2417.875 SSA: それと {%alt: ほいと} / これなら / 一 &ま [/] あの千三百円って言ったら {%alt: っつったら} {%com: a sound like tapping on the table} 私六百五十円で縫ってあげるから // そういう半値の作業をしました ///
439 2417.875-2418.34 SSA: はい ///
440 2418.34-2423.407 SSA: それでもねえ // 随分 / 稼がしていただきました !
441 2423.407-2424.57 SSA: ええ ///
442 2424.57-2427.383 SSA: お給料に近い / &す [/] 数字が出ます ///
443 2427.383-2428.776 SSA: <ええ> ///
444 2428.776-2440.225 INT: [<]
445 2428.776-2440.225 SSA: だから // あのう = 何て言うかねえ [///] # もう -> # 私には // 何か金運 {%alt: かねうん} がついていたかね ///
446 2440.225-2450.987 SSA: 自分に使うことはできなくっても // 母を助けることも妹を助けることもできるだけのものを得る {%alt: うる} ことができる // えそういうものに恵まれたですかね ///
447 2450.987-2455.997 SSA: でもね // 損だなって思ったことが一度ありました ///
448 2455.997-2457.977 SSA: 私が ///
449 2457.977-2472.769 SSA: <何で {%alt: な -> んで}>
450 2457.977-2472.769 INT: [<] <損> ///
451 2457.977-2472.769 SSA: 私こんな貧乏な家に生まれてね // 何で {%alt: な -> んで} 妹や弟のためにね / 青春を無くしてね // お金のことばっかり {%alt: ば -> っかり} に執着して生きて {%alt: 生きた} きたんだろ何 {%alt: な -> ん} だろ私はと思ったことが一度ありました ///
452 2472.769-2474.202 SSA: うん ///
453 2474.202-2478.609 SSA: その時救ってくれたのが // 教会の鐘でした ///
454 2478.609-2483.208 SSA: キリスト教の / 教会の鐘でした ///
455 2483.208-2488.631 SSA: もうそれにぶつかった日はね // 何にも考えることできませんね ///
456 2488.631-2490.861 SSA: 夢遊病者のように歩いてました ///
457 2490.861-2499.784 SSA: そしたらね // どこかで何とも言えないもう心に響く / き -> んこ -> んか -> ん {%act: onomatopoeia} って xxx 聞こえてくるんですよ -> ///
458 2499.784-2512.062 SSA: 一体こんな {%alt: こん -> な} 素晴らしい / 鐘の音はどこから {%alt: どっから} 来るんだろうと思って鐘の音に誘われながら // そちらへそちらへと / 向かって行ったらねえ / キリスト教会でした ///
459 2512.062-2527.122 SSA: それで {%alt: ほいで} 入っていいのか悪いのか分からないけど外でうろうろしてましたら // 誰か出てきて誘ってくれまして // で中へ入れていただいて // 牧師さんのお話を聞いてるうちに // "私は何て馬鹿だろう ///
460 2527.122-2530.748 SSA: 何でこんなちっぽけなことにね / 戸惑ったんだろう ///
461 2530.748-2534.338 SSA: 教会の / 牧師さんは何て {%alt: な -> んて} すごいんだろう ///
462 2534.338-2537.449 SSA: これをみんなに説いて聞かせてるんじゃないか" と ///
463 2537.449-2542.953 SSA: で // "私もそれに近づこうと努力したら何にも / 苦しくないじゃないか" と ///
464 2542.953-2546.828 SSA: "馬鹿 {%alt: ばっか} だなあせつこは" って言って帰ってきました {%act: laugh} ///
465 2542.953-2546.828 INT: hhh {%act: laugh} ///
466 2546.828-2557.411 SSA: hhh {%act: laugh} /// それでもうふっ切れて //
467 2546.828-2557.411 INT: ええ //
468 2546.828-2557.411 SSA: &mm 自分が / 貧しさって言う {%alt: っちゅう} ものから // もう / そう考えなくなりましたね ///
469 2557.411-2558.958 SSA: 貧しさを ///
470 2558.958-2562.36 SSA: うんなるようにしかならないじゃないかと ///
471 2562.36-2565.969 SSA: 昔の人はいい -> 言葉を -> 残してくれたわと ///
472 2565.969-2568.997 SSA: なるようにしかならない {%com: sounds like tapping on the table} ///
473 2568.997-2569.579 SSA: ね ///
474 2569.579-2572.803 SSA: 逆らったってだめじゃないかと ///
475 2572.803-2575.54 SSA: 従えばいいじゃないかと ///
476 2575.54-2579.448 SSA: その言葉を -> / 噛みしめましたね ///
477 2579.448-2582.984 SSA: ええ / それからは // 苦しみません ///
478 2582.984-2587.241 SSA: 何が起きても // 逆に喜びが大きくなりました ///
479 2587.241-2599.125 SSA: ああ / 今日はこんなことでこんなに稼がしていただい xxx /// こんなことでこんないい場所に &おる [/] 生かしてもらえたのかってね // あの // 今で言う何て言うの ? 前思考 ///
480 2599.125-2604.87 SSA: どんどんどんどんそういう考え方の私の脳波がこう / 回ってってくれたのね ///
481 2604.87-2608.756 SSA: いいことの方へ入ってったでしょう -> ///
482 2608.756-2618.62 SSA: もうそういう / ことがこう自分で / 納得して気がついた時っていう {%alt: っちゅう} のは / 素晴らしいですね ///
483 2618.62-2624.531 INT: それがキリスト -> 教会 {%alt: きょ -> かい} の / <鐘が>
484 2618.62-2624.531 SSA: [<] <はい> !
485 2618.62-2624.531 INT: きっかけになったん <ですか> ///
486 2618.62-2624.531 SSA: [<] <はい> ///
487 2624.531-2630.523 SSA: はあ / これがアメリカの / その # 民主主義なんだと ///
488 2630.523-2634.25 SSA: 私もうその時民主主義の本読んでたのよ ?
489 2634.25-2636.511 SSA: 三回通りも ///
490 2636.511-2637.238 INT: そうなんですか ///
491 2637.238-2637.764 SSA: はい ///
492 2637.764-2641.839 SSA: 理解しかねて // 三回通り読んだんですよ ?
493 2641.839-2642.877 INT: 本ていうのは ...
494 2642.877-2646.509 SSA: [<] <ほいで> / 最後の一言が // 責任で終わりました ///
495 2646.509-2648.071 SSA: 責任 ///
496 2648.071-2652.788 SSA: 日本の人はねえ / 責任が小さすぎる ///
497 2652.788-2656.342 SSA: だからトラブルがいっぱい起きる ///
498 2656.342-2665.521 SSA: 一人一人の個人が {%com: sounds like tapping on the table} // 責任を十分 {%com: a sound like tapping on the table} 持っていたならば // &じ [/] 交通事故も減ります ///
499 2665.521-2668.992 SSA: 人を殺すこともなくなります {%com: a sound like tapping on the table} ///
500 2668.992-2674.644 SSA: その責任が日本人には小さすぎますと // 私は持論しております ///
501 2674.644-2676.576 SSA: はい ///
502 2676.576-2684.746 SSA: もう一人一人が / 大きな {%alt: おお -> きな} 責任を持ってくださったら // ほんとに / 警察もいらんくなるでしょ ///
503 2684.746-2686.057 SSA: うん ///
504 2686.057-2695.277 SSA: そのくらい / に / 私はその本を読んだのと // 牧師さんのお話を / あのう / 交えて / それが / 感じましたね ///
505 2695.277-2701.134 SSA: だからどなたにもあたしは言うの // "民主主義は責任だよ {%com: a sound like tapping on the table}" って ///
506 2701.134-2708.878 SSA: そうすると {%alt: ほうと} 私より / 高い学力のある方でも // "そう言えばそうですよね" って答えが返ってきますね ///
507 2708.878-2718.975 SSA: "日本の人は民主主義を / 心得違いして // 勝手主義が半分入ってますね" って私 {%alt: わし} 言うの ///
508 2718.975-2722.246 SSA: だから / うまくいかないじゃないですか ?" って ///
509 2722.246-2729.433 SSA: 本当は / 責任を持ったなら // 人様に迷惑はかけられないはずだと思います ///
510 2729.433-2731.196 SSA: ね ///
511 2731.196-2738.994 SSA: それが / 責任が無いから // 人様に迷惑をかけたり / 笑われることをするでしょ ?
512 2738.994-2753.339 SSA: 責任を持っていたなら // 私は人様に迷惑をかけることは // まず間違っても [///] そこまでは行っても &ss せずに済むと思います ///
513 2753.339-2757.758 SSA: そこからユーターン {%alt: ゆ-> たん} ができるじゃないかと思います ///
514 2757.758-2769.776 SSA: まそんなような // あのう / 心がけで / まあ / 私が子どもを育てたから子どもも / それの / 理解できる子に / 育ったと思います ///
515 2769.776-2783.393 SSA: 誰に教わったでもない / これは私が長い人生 // いろんなものにぶつかりながら / 得た私の [///] 自分で切り開いた {%alt: きり -> ひらいた} 私のあ知恵ですね ///
516 2783.393-2786.625 SSA: あのう教わったと言う {%alt: ちゅ} ことないんですから ///
517 2786.625-2789.506 SSA: 教わる場所に / 出会えなかったんだから ///
518 2789.506-2791.385 INT: hhh {%act: understand} ///
519 2789.506-2791.385 SSA: ね ///
520 2791.385-2798.095 SSA: でも // それができた / ていうことは // 今思うと素晴らしいと思います ///
521 2798.095-2800.139 SSA: 自分を褒めてやります私は ///
522 2800.139-2802.141 SSA: 誰も褒めてくれんから ///
523 2802.141-2805.349 INT: hhh {%act: laugh} ///
524 2802.141-2805.349 SSA: hhh {%act: laugh} ///
525 2805.349-2807.136 SSA: 自分で自分を褒めます今は ///
526 2807.136-2810.659 SSA: それも八十過ぎてからそうか // 切り替えました ///
527 2810.659-2813.527 INT: hhh {%act: understand} ///
528 2810.659-2813.527 SSA: 自分を褒めてやることに ///
529 2813.527-2814.237 SSA: ええ ///
530 2814.237-2819.221 SSA: 長い間ご苦労様と // よくもここまで記憶を入れといてくれましたと / ね ///
531 2819.221-2821.983 SSA: &mm あの喜びを / 味わいました ///
532 2821.983-2824.138 INT: そうですねえ <->> //
533 2821.983-2824.138 SSA: [<] <ええ> ///
534 2824.138-2825.07 INT: ほんとに +
535 2825.07-2829.974 SSA: その中にもまだ // あの / 会社の中のエピソードもたくさんありますよ ?
536 2829.974-2841.334 SSA: うん / その / 日清紡に <おる時のね> //
537 2829.974-2841.334 INT: [<] <hhh {%act: understand}> ///
538 2829.974-2841.334 SSA: = 前 / 戻りますけど [///] あのう / 私はね職種がね // あのう / 準備 / ワインターというとこにいたんですよ ///
539 2841.334-2856.467 SSA: 準備 / ワインター / というのは / 原綿から / こんな太いのになり細いのになり糸になってきたものを // 今度 / 織物の / &かい [/] 機械へ / 届くための / 糸を長くするところね ///
540 2856.467-2858.507 SSA: そこの {%com: noise} / 職場にいたんですよね ///
541 2858.507-2866.485 SSA: それで {%alt: ほいで} その職場にいて // あのう // 戦後 / 入社 &し [///] 戦前はまあ普通の / あの機械持ちでした ///
542 2866.485-2868.731 SSA: でもまあいつも一番でしたけどね ///
543 2868.731-2874.482 SSA: それで / 戦後は / あの経験工をあのう // &さき [/] あのう = 何て言うの ?
544 2874.482-2884.823 SSA: あの優遇してくれまして // 私は入って三月で / 整理工という 第七工員という {%alt: ちゅう} ものをいただきまして // もうそこで給料が普通よりアップですよ ?
545 2884.823-2896.034 SSA: それで / その次に / あのう / もう一つ / &mm // &mm 組長を &や [///] &mm 組長になる前にね // あのう / 私は先指導員の勉強をしちゃったの ///
546 2896.034-2898.431 SSA: それで {%alt: ほいで} 指導員になっちゃったわけね ///
547 2898.431-2908.095 SSA: それで {%alt: ほれで} あのう // 新しい会社が -> あの名古屋へ設立するんで // そこへ私を指導員として派遣する予定だったらしいです会社の目的は ///
548 2908.095-2909.86 SSA: それで {%alt: ほで} 私は行かなかったの ///
549 2909.86-2918.493 SSA: あのう親や兄弟と離れると [///] 遠くなるっていう {%alt: っちゅう} ことは // 私は親代わりですから // あのそれは無理だでって / あたし遠慮しました ///
550 2918.493-2924.197 SSA: そうしたら {%alt: たら} / "女の子が / 偉くなるのを / 断るとはねえ / 初めてだ" って言われました ///
551 2924.197-2926.266 SSA: "結構です" って "初めてでも ///
552 2926.266-2928.186 SSA: 第一号いいじゃないですか" って ///
553 2928.186-2929.609 SSA: それで {%alt: んで} 私やめました ///
554 2929.609-2935.618 SSA: そうしている間に / 私の職場の / あのう / とこに / 人の嫌がる職種があったんですよ ///
555 2935.618-2938.864 SSA: その職場の中に // 四通り {%alt: よとおり} あるんですよ ///
556 2938.864-2942.589 SSA: ワインダーワーピング / サイジング / タイグマシン {%com: referring to a tying machine} と ///
557 2942.589-2963.217 SSA: ところがね / その間にまだ {%alt: まんだ} ねえ // あのう木管整理と言いましてね // あのう # &mm &ss / 糸になったとこの [///] xxx 糸を作る // xxx {%alt: だいいしが} / 一番のところへ // &おり [/] &おりふ [/] おりの方から // 終わった / {%com: noise} 管を / 空にして返すって言う {%alt: っちゅう} 作業があったんです {%com: hardly heard です} ///
558 2963.217-2965.292 SSA: それが準備で / 行うことんなってました ///
559 2965.292-2969.934 SSA: その仕事はね // 皆さんがとても嫌うんですよ ///
560 2969.934-2971.879 SSA: 何でか知らんけど ///
561 2971.879-2981.022 SSA: 仕事のできない馬鹿とか // あのう横着者 {%alt: もん} とかいう者 {%alt: もん} ばっかがそこへどうか回されてたらしいですね // その私が入る前は ///
562 2981.022-2982.709 SSA: だから嫌うんですよ ///
563 2982.709-2984.82 SSA: そこで私考えたの ///
564 2984.82-2993.362 SSA: 課長さん -> を交えて班長さん担任者を入れましてね // あの相談会を私持たせて {%alt: もたして} くれって私の方から申し出たんですよ ///
565 2993.362-2997.695 SSA: "ほお -> ほしの何をやらかすだ" って = あたし / 旧姓ほしのって言うんですよ ///
566 2997.695-2999.451 SSA: "ほしの何やらかすだ" ///
567 2999.451-3002.241 SSA: "うんまあ私のねえ -> 望みを聞いてください" ///
568 3002.241-3009.206 SSA: そう {%alt: ほう} 言ったらねえ // "そういう仕事を嫌がるから // もうかる仕事に変えてもらえんかね" って言ったの ///
569 3009.206-3019.104 SSA: "生産をその成分にして // みんなが生きがいを感じる仕事にしたら // もっときれいにスムーズに / あの仕事ができると思いますよ" って言ったの ///
570 3019.104-3028.622 SSA: そう言ったら / 課長さん大きな人だったけどこう -> してね // "ううん -> それは気がつかなんだなあ ->" ておっしゃったねえ ///
571 3028.622-3039.733 SSA: "じゃ課長さん // 私の意見を // 入れていただけますか ?" て言ったら {%alt: てったら} ねえ // "うん ! 早速やってみるか" / て / 答えて {%com: hardly heard て} くれました ///
572 3039.733-3055.057 SSA: そしてね // あのうそこを // &mm / もう -> = 何て言うかな [///] あんまり動かなくて &い [/] やる仕事であって // それで {%alt: ふんで} その織布 {%com: おりふ} っていう {%alt: っちゅう} 方の / 織り上がって -> もう -> / この [///] 自動織機ですから / 少し残っては / 糸が替わってくわけですね ///
573 3055.057-3064.008 SSA: そうすると {%alt: そうすと} そのねえ / 替わってきて / xxx {%alt: ちいこと} {%com: a sound like tapping on the table} [/] 少しついているやつを / xxx 私らの準備課が持ってきて // きれい {%alt: きれ ->} にして精紡と言う {%alt: ちゅう} とこへ返さなきゃいかん {%alt: 返さないきゃん} わけね ///
574 3064.008-3069.112 SSA: その仕事だからね / 織布 {%alt: おりふ}屋 集めに {%alt: 集め ->} 行くとね // &し [/] みんな馬鹿みたいに思うって言う {%alt: っちゅう} んですよ ///
575 3069.112-3070.85 SSA: 自分が馬鹿に見えるって言う {%alt: っちゅう} の ///
576 3070.85-3072.358 SSA: "何で ?" って言うの私は ///
577 3072.358-3075.103 SSA: "職業に馬鹿利口があるの ?" って職種に ///
578 3075.103-3079.898 SSA: "その職種を一生懸命やった人が一番賢く見えるのよ" ってあたし言ったのよ ///
579 3079.898-3091.309 SSA: そう {%alt: ほう} やってみんながだんだん &か [/] こう / 考え方変わってきましてね // それで {%alt: ふんで} その / あのう # ある / 容器へね / 一杯を / どれだけ {%alt: どいだけ} にしたら xxx {%alt: いかがだと} / ね ///
580 3091.309-3099.639 SSA: 織布 {%alt: おりふ} の嫌なとこ {%alt: とっ} から -> 十杯持ってきた人はそこで十円 / 自分の日給にプラスしてもらえたらどうだって // それやったんですよ ///
581 3099.639-3105.033 SSA: そうしたらね // もう -> 織布 {%alt: おりふ} からの小言も一言もございません ///
582 3105.033-3107.798 SSA: 精紡からの / 小言も一言もございません ///
583 3107.798-3111.884 SSA: もう // 人数少なくてもいつもきれいになるようになりまして ///
584 3111.884-3116.94 SSA: それは私 // そこで {%alt: とこで} / とんとまた一級上げてもらったの ///
585 3116.94-3119.929 SSA: そうしたら {%alt: ふんだら} 六等工員と言う {%alt: ちゅう} のいただいちゃったの ///
586 3119.929-3123.989 SSA: そうすると {%alt: ほいっと} ねえ / 女性だとあれだけ早く等級上がる人は滅多無いんですよ ///
587 3123.989-3143.334 SSA: それで {%alt: ほいで} 等級上げていただいて // そうしたら今度はその次に / あたしの / 前の組長さんが # {%com: noise} 結婚で辞めるって言いますもんで // それで {%alt: ほいで} / 課長さんが初めて // "お前名古屋やらんで // わしは {%alt: わしゃ ->} 助かったわ ///
588 3143.334-3146.069 SSA: お前に / 非組長をやってもらいたい" ///
589 3146.069-3147.397 SSA: "ああそうですか ///
590 3147.397-3149.098 SSA: 順番が来たなら致します ///
591 3149.098-3166.95 SSA: けれどもね // 私は小学校しか出てないから / 字を書くことがとても下手で // あまり字を知りませんので // xxx / &じ [/] 大事務所へ提出する / 書類は -> // 書記に / お願いしても [/] 職場書記にお願いしてもいいですか ?" って // 提案したんですよ ///
592 3166.95-3170.925 SSA: "ううんそんなこと言ってきた人は一人もおらんなあ ///
593 3170.925-3185.358 SSA: けどまあ // ほしののことだ / 許可するか" / て言ってくれまして // で私はあの現場書記に // 大事務所へ提出の書類は / 全部仕上げてもらいましたから // あの私の文字では大事務所に届いておりません ///
594 3185.358-3189.118 SSA: hhh {%act: laugh} /// あの // 楽をしましたかね ?
595 3189.118-3190.487 INT: hhh {%act: laugh} ///
596 3190.487-3192.289 SSA: ちょっと <ずるいかね> ?
597 3190.487-3192.289 INT: [<] <いえいえいえ> ///
598 3192.289-3196.551 INT: いえ <いえ xxx> ///
599 3192.289-3196.551 SSA: [<] <でも> ねえ // あのう事実私ね字書くこと好きでなかったの ///
600 3196.551-3199.018 SSA: うんだからまあそう提出したの ///
601 3199.018-3208.621 SSA: 計算の方ではねえ / もう抜群の -> / 計算力持ってましたから困りませんでしたけどね // あのそういう字を書くことは &ふ [/] とても不可能だったんですよ私には ///
602 3208.621-3214.092 SSA: 書いて書けんことはないんだけど // あのう / 人よりまずいって言う {%alt: っちゅう} のがもうはえ頭に / あるのね ///
603 3214.092-3216.278 SSA: &い [/] 人より下手だっていうことが ///
604 3216.278-3220.997 SSA: だからね // コンプレックスがあったのかね {%com: noise} ? こんな私でも ///
605 3220.997-3240.765 INT: hhh {%act: laugh} ///
606 3220.997-3240.765 SSA: それで {%alt: ほいで %com: a sound like tapping on the table} / たまたま / その現場事務の / やってる # 人が [///] すずきさんっていう人が私の / 同室にいた人だから -> 元 [///] あのそん時はもう別れてましたけどね // 同室でね // 三ヶ月 &ご [/] ころ / おった -> お嬢ちゃんだったから // それで {%alt: んで} あの知り合いだから余計あのう / 頼みやすかったかね ///
607 3240.765-3264.066 SSA: でまあ許可いただいたりしてね // まあひょんなとこで / 助けられたり / 助けたりでね // あのう / 組長も / 無事やって // あのう / 組長なった途端にまた一等級上げていただいたから // 私は五等工員という {%alt: ちゅう} ものをいただいたから // 女性では千六百人もいる中で // 十人はいなかったかもしれません ///
608 3264.066-3272.922 SSA: ええ / だから // あのう働く -> ことにおいては / もう言葉で言ったらるんるんの / 人生だったでしょうね ///
609 3272.922-3274.208 SSA: ええ ///
610 3274.208-3278.377 SSA: でまたそんなこと考えつく人もないって課長さんおっしゃったね ///
611 3278.377-3279.312 INT: hhh {%act: understand} ///
612 3279.312-3282.843 SSA: うん / "珍しい人材だのう" ってよく言われましたね ///
613 3282.843-3292.28 SSA: それで {%alt: ほんで} -> // 私がとうとう結婚することになって辞めますって言ったら {%alt: ったら} ねえ // "おい / ほしの ! お前でも嫁に行けるか !" て ///
614 3292.28-3292.286 SSA: <hhh {%act: laugh}> ///
615 3292.286-3293.115 INT: [<] <hhh {%act: laugh}> ///
616 3293.115-3300.731 SSA: "課長さん / それないでしょう ! 私もこれでもレディ {%alt: れで ->} ですよ !" て <hhh {%act: laugh}> ///
617 3293.115-3300.731 INT: [<] <hhh {%act: laugh}> /// hhh {%act: laugh} ///
618 3293.115-3300.731 SSA: hhh {%act: laugh} ///
619 3300.731-3303.186 SSA: そんな -> 会話もさしていただきましたんね ///
620 3303.186-3324.668 SSA: それで {%alt: ほいで} あのう // でも -> // 私より // 一つ前に / 指導員 {%alt: いん ->} &mm になってた人はね五十四歳まで &つ [/] 勤め上げちゃってねえ // だからその人がいたから私いてもきっと / あのう &し [/] # 日清のそこの職場の指導員には私は // きっとなれなかったかもしれんね ///
621 3324.668-3327.864 SSA: うん / 指導員の // 免状はもらっても ///
622 3327.864-3351.203 SSA: だからその時代にね // TWI {%alt: テーダブリュ / アイ} 法というね / あのう / 名前の = 英語ですよねTWI {%alt: テーダブリュ / アイ} だから / 私そのTWIをT {%alt: テ ->} / w {%alt: ダブリュ} / i {%alt: アイ} をどういう風に / &せ [/] あの解説したらいいか私いまだにわかりませんけれども // とにかく指導員になるための勉強会 // と日本語では言いました ///
623 3351.203-3356.865 SSA: それ / ノミネートされて // そこで / 勉強会 // 参加しました ///
624 3356.865-3359.916 SSA: 一番先 / 電気のコード結び ///
625 3359.916-3371.443 SSA: それは / 指導員は // 黙って / 一言 {%alt: ひとっこと} も言葉をなくその / コード結びをやりまして // "皆さんやってみてください" / 言われました ///
626 3371.443-3375.024 SSA: 三十六名ノミネートの中私一人できました ///
627 3375.024-3376.783 SSA: あと誰もできません ///
628 3376.783-3383.305 SSA: で / 今度は二度目は指導員が / 言葉を添えながら // コード結びやりました ///
629 3383.305-3386.177 SSA: それでもまだ半数しかできませんでした ///
630 3386.177-3392.564 SSA: あとの半数馬鹿 {%alt: ばっか} じゃないかなあようノミネートしていただいたなあと // 思いました ///
631 3392.564-3397.354 SSA: そして / 三回 {%com: noise} も四回もやって初めて / 最後の人ができました ///
632 3397.354-3413.116 SSA: そして / その / 言葉を / 聞いてたら // "TWI {%alt: テーダブリュアイ} 法というのは / 指導者が / 教えたけれども / 覚えてなかったのは指導者が教えなかったんだという結論が来ます" とこう言いました ///
633 3413.116-3416.655 SSA: "あ私指導者になること辞めます" って言ったの ///
634 3416.655-3420.362 SSA: "何でですか ?" って言ったら {%alt: ったら} / "人間馬鹿も利口もいます ///
635 3420.362-3429.217 SSA: 百人のうち一人でもできない人があったら指導者が教えなかったなんて / 私そんな {%alt: そん -> な} とんでもない結論の出ることは / 私は望みません !" て断りました hhh {%act: laugh} ///
636 3429.217-3433.926 INT: hhh {%act: understand} ///
637 3429.217-3433.926 SSA: もう / 徹底してたですね ///
638 3433.926-3436.817 SSA: もうその = 何て言うの [///] 少女の頃から ///
639 3436.817-3443.116 SSA: あのう = 何て言ったらいいかいねえ [///] だから &こ [/] 労組の / 幹事もやりました ///
640 3443.116-3457.401 SSA: それから寄宿舎では // あの // 部屋長から // それから {%alt: んから} = 何だ {%alt: な -> んだ} [///] 寮長代理 / 寮長 / 生活部長 // それから -> ええ / 会長代理 / 会長代行までやりました ///
641 3457.401-3462.66 SSA: <はい> ///
642 3457.401-3462.66 INT: [<] <日> 清紡で働いてるときはずっと寄宿舎に //
643 3457.401-3462.66 SSA: はい ///
644 3457.401-3462.66 INT: いたんです
645 3457.401-3462.66 SSA: [<] <はい> ///
646 3462.66-3468.183 SSA: そういう大きな会社で人数が多いから // もう全て <の自治が> /
647 3462.66-3468.183 INT: [<] <hhh {%act: understand}> ///
648 3462.66-3468.183 SSA: しっかりしてないとやってけれんでしょう ?
649 3468.183-3471.637 SSA: それだから {%alt: ほいだから} からね / もう -> / 寮に自治会がありまして +
650 3471.637-3479.812 INT: hhh {%act: understand} ///
651 3471.637-3479.812 SSA: はい // それで {%alt: ほいで} 自治会長があって副会長があって // 寮長があって -> 寮長代理があって / &こ [/] 部屋長がある ///
652 3479.812-3482.698 SSA: そういうの全部 {%alt: ぜん -> ぶ} やりました ///
653 3482.698-3483.908 SSA: ええ ///
654 3483.908-3489.056 SSA: もう = 何て言うかね [///] やりたくなくても入ってくるのね ///
655 3489.056-3494.001 SSA: 自分が望まなくっても // 自然に入ってきちゃうのね ///
656 3494.001-3502.564 SSA: それで {%alt: ほいで} // 会社辞める時に -> / たまたま寮長さんが -> 七人 [///] もう二十寮もあるから // 七人 / 退社したんですよね ///
657 3502.564-3507.95 SSA: それで {%alt: ほいで} そん時に -> 一緒に退社しとった人たち {%alt: しとったち} が // 私に最後の挨拶やってくれって言うの ///
658 3507.95-3510.679 SSA: ううん -> 弱ったなあ ///
659 3510.679-3513.2 SSA: いいや // さよならだけで言やいいや !
660 3513.2-3513.924 INT: hhh {%act: laugh} ///
661 3513.924-3514.906 SSA: hhh {%act: laugh} ///
662 3514.906-3515.5 INT: hhh {%act: laugh} ///
663 3515.5-3522.292 SSA: こんな軽い気持ちでね {%act: laugh} // 壇上に立ったはいいが声が何も出てこないやない {%act: laugh} ///
664 3522.292-3523.56 SSA: どうしよう ///
665 3523.56-3532.274 SSA: 私言うこと忘れちゃったのか私の脳が / 何だ言葉無くなっちゃったのかあ -> って思いながらこうやって下を向いてたんですよ {%act: laugh} ///
666 3532.274-3548.322 SSA: そしたら -> &い [/] 言葉が / 出てきまして {%com: noise} // それで {%alt: そいで} まあ / 次から次へと / 今までの懐かしい寮生活の話をしてって // これからの人たちも / こういうことに -> 気を配りながら // あ寮長という仕事をして欲しいって言う {%alt: っちゅう} お話をしました ///
667 3548.322-3551.807 SSA: それで {%alt: ほいで} 拍手喝采で終わらしていただきましたけどね ///
668 3551.807-3554.437 SSA: それが / 日清紡の最後です ///
669 3554.437-3555.522 SSA: ええ ///
670 3555.522-3567.011 SSA: だからあの会社は // 私にとっちゃあ一番いい // そのう少女時代から大人になる時の // 一番 {%alt: いちば -> ん} いい時期を全部あそこで育てられたみたいな気がしますね ///
671 3567.011-3582.108 INT: <hhh {%act: understand} / hhh {%act: understand}> ///
672 3567.011-3582.108 SSA: [<] <それが // 綿という> / 生地がいらなくなって // ねえ // 合成繊維になっ <ちゃって ->> //
673 3567.011-3582.108 INT: <hhh {%act: understand}> ///
674 3567.011-3582.108 SSA: 会社がつぶれちゃったのは寂しいですけどね // でも私がおった時は / 随分光があったんだなあって思いますね ///
675 3582.108-3583.234 SSA: ええ ///